【ジョージ・ハリスン】All Things Must Passを独断と偏見でレビュー

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前回からの続きです。

All Things Must Passとは?

「All Things Must Pass」はビートルズが解散してからジョージが初めて出したアルバムです。

1970年11月に発売されました。

ジョージハリスンの傑作と言われているアルバムですが、個人的には一番と言うほどではありません。

レコードでは3枚組の大作(と言っても3枚目はジャムセッションがほとんど)になっており、ロックの金字塔などと形容されることもあるようですね。(そこまで良いとは思いませんが)

このアルバムに収められている曲のほとんどは、ジョージがビートルズ時代に書き溜めたものです。

ビートルズに在籍中はいくら良い曲を書いても、ジョンとポールの曲(例えクソな曲でも)が優先されましたからね。

自然にストックがどんどん溜まっていったというわけですね。

アルバム全体の印象

アルバム全体の印象は、全体的に良いメロディの曲が多い(と言うか良いメロディの曲しかない)と言うことです。

Disc1とDisc2はそれぞれ9曲ずつ入っていますが、アルバム2枚に分けても十分過ぎる水準になったと思いますけどね。

敢えてそれをしなかったということは、その頃のジョージは良い曲を作り続ける自信があったということなんでしょうか。

あとはシンプルなアレンジの曲がほとんどなく、バックの音がうるさいということです。

プロデューサーに「ウォール・オブ・サウンド」で有名なフィル・スペクターを迎えていますからね、音が何重にも重なっていますのでジョージの歌がよく聴こえません。

もっとシンプルにした方が良かった曲もたくさんあると思うんですけどね。

例えばオリジナルでは特にうるさい「Awaiting on You All」なんかは、Take1の方がよっぽど好きです。

Disc1

Disc1には全部で9曲入っていますが、数合わせ的な曲は1曲もありません。

全部が全部、良い曲ばかりだと思います。

1曲目の「I’d Have You Anytime」はボブ・ディランとの共作で、渋くて落ち着いたメロディが心地良い曲です。

次の「My Sweet Lord」は、おそらくこのアルバムで一番有名な曲でしょうね。

シングルカットされ、全米1位も記録しています。

アコースティックな曲で、途中から入ってくるハレ・クリシュナのコーラスが非常に印象的です。

今でも街を歩いているとBGMで流れてきたりしますので、聴いたことがあるという人も多いと思います。

ただこの曲は「He’s So Fine」という曲の盗作問題がありますね。

聴けば分かりますが、そっくりと言えばなかなかそっくりです。

しかしわざわざパクってまでヒット曲が欲しかったわけでもないでしょうし、潜在意識の内における盗用ということでいいかと思います。

「Wah-Wah」はギターがカッコいい曲ですが、ワーワーうるさくて少し長いですね。

「Isn’t It a Pity」はキレイなメロディの曲ですが、これも少し長いですね。

「What is Life」はシングルカットされヒットしたカッコいい曲ですが、もっとシンプルにした方が良かったかな?

「If Not for You」はボブ・ディランの崩しまくった曲をまともな曲にしたような感じ、「Behind That Locked Door」は非常に美しいメロディの曲と言った感じです。

「Let It Down」はビートルズ解散前にできていた曲ですが、ビートルズ的でないということで却下されたとのことです。

しかし改めて聴くとウォール・オブ・サウンドがぴったりハマっており、とてもいい感じです。

この曲がもしかしたらこのアルバムで一番良い曲であってもおかしくない、と最近になって思ってきました。

「Run of The Mill」は軽いけどノリの良い曲で、メロディも覚えやすいですね。

と言うような感じで、何回も書きますがいわゆる出来の悪い曲というのは1曲も入っていませんので全曲通しで聴くことをおススメします。

Disc2

Disc2も引き続きジョージの熱のこもった曲が連発されています。

ここでも手抜きの曲は一切ありませんね。

「Beware of Darkness」は良い曲なのは聴けば分かりますが、渋めで少し怖い曲です。

「Apple Scruffs」は前曲の雰囲気から一転して、いきなりハーモニカで始まるアップテンポで軽快な曲です。

「Ballad of Sir Frankie Crisp」は非常に淡々としておりサビも特にありませんが、なぜかハマりますね。

時間がない時に他の曲は飛ばしても、この曲だけは飛ばしません。

「Awaiting on You All」はひと言で言えばやかましい曲なんですが、シングルで出してもヒットしたのではないかと思います。(歌詞は微妙ですが)

先ほども書いたように、もっとシンプルな方が絶対良かったような…。

「All Things Must Pass」は渋くて良いメロディですが好みではない、「I Dig Love」は全体的に不気味なアレンジですがサビはいいですね。

「Art of Dying」はこのアルバムで一番カッコいい曲で、シングルで出しても良かったと思う曲ですね。

1966年にはできていたらしいのですが、なぜビートルズで発表していないのかは分かりません。

「Isn’t It a Pity」は2回目、「Hear Me Lord」は神様大好きないかにもジョージらしい曲と言った感じです。

Disc3はほとんどジャムセッションなので聴く必要はありませんが、Disc2まではとにかく10回は聴くべきですね。

ということで、今回は終わりにします。