インデックス投資を始めたとき、私も「自動積立」こそ王道だと思っていました。
毎月同じ金額を積み立てるだけで、買い忘れもなく、手間も少ない。
とにかく気軽に始められるし、続けることにも向いています。
でもあるとき、ふと気づいたんです。
「前回より価格が上がった資産を、また同じ金額で買ってる。それって、ちょっともったいない気がする…」
そこから私は「ノーセルリバランス」という買い方に切り替えました。
今回は、自動積立より私が気に入っているこの方法について、仕組みや違い、メリット・デメリットをやさしく解説していきます。
自動積立の特徴と限界を確認しよう
自動積立は、毎月一定の金額を自動で投資する方法です。
設定しておけば放置できるので、忙しい人でも続けやすく、感情にも左右されにくいのが魅力です。
ただし、評価額がどう変わっていても、アセットアロケーションに沿って常に同じ比率で投資を続けることになります。
たとえば、前回より価格が上がった資産にも、また同じ金額を買うことになるんです。
- 設定後は自動で継続できて便利
- 感情に流されずに淡々と投資できる
- 高くなった資産にも同じ金額を投資する
ノーセルリバランスとは?配分を整えるための買い方
ノーセルリバランスは、資産を売らずに、買い足すだけで配分を整える方法です。
リバランスというと「売って調整する」イメージがあるかもしれませんが、これは「買い方で調整する」やり方です。
崩れた配分を理想に戻すために、投資額を資産ごとに調整するというシンプルな発想です。
その結果、前回より評価額が上がった資産は少なめに、下がった資産は多めに買うことになります。
表1:通常のリバランス(売買で調整)
資産 | 評価額 | 売買内容 | 最終評価額 | 最終割合 |
資産A | 12万円 | -2万円(売却) | 10万円 | 50% |
資産B | 8万円 | +2万円(購入) | 10万円 | 50% |
(出典:筆者の計算)
表2:ノーセルリバランス(追加購入のみで調整)
資産 | 評価額 | 追加投資額 | 合計評価額 | 最終割合 |
資産A | 12万円 | 3万円 | 15万円 | 50% |
資産B | 8万円 | 7万円 | 15万円 | 50% |
(出典:筆者の計算)
- 配分を整えるために買い方を調整する
- 高くなった資産は少なく、安くなった資産は多く買う
- 売却がないので税金がかからない
自動積立とノーセルリバランスを比較しよう
次に、同じように10万円を追加投資する場合、両者がどう違うのかを見てみましょう。
前提条件:
- 資産A・Bにそれぞれ10万円ずつ投資済み(アセットアロケーションは50:50)
- 1ヶ月後、資産Aが12万円、資産Bが8万円に変化
- この状態で、10万円をアセットアロケーションに沿って追加投資する
表3:自動積立の追加投資結果(各5万円ずつ)
資産 | 評価額 | 追加投資額 | 合計評価額 | 最終割合 |
資産A | 12万円 | 5万円 | 17万円 | 約56.7% |
資産B | 8万円 | 5万円 | 13万円 | 約43.3% |
(出典:筆者の計算)
自動積立では、価格がどう動いていてもアセットアロケーション通りに同じ比率で買い続けます。
表4:ノーセルリバランスの追加投資結果
資産 | 評価額 | 追加投資額 | 合計評価額 | 最終割合 |
資産A | 12万円 | 3万円 | 15万円 | 50% |
資産B | 8万円 | 7万円 | 15万円 | 50% |
(出典:筆者の計算)
ノーセルリバランスでは、評価額の変動に応じて追加購入額を調整します。
前回より上がった資産を少なめに、下がった資産を多めに買う形になります。
- 自動積立は毎回同じ比率で買い続ける
- ノーセルリバランスは配分のズレを補うように買い方を変える
- 結果的に割高な資産を控えめに、割安な資産をしっかり買える
ノーセルリバランスのメリット
高くなった資産を少なく買える
評価額が上がって比率が増えた資産は、追加投資額を控えめにして過剰に買わないようにします。
その結果、高値づかみを避け、平均取得価格の上昇を抑えやすくなります。
安くなった資産を多く買える
配分が減っている(=下がっている)資産には、多めに投資することで理想の比率に戻します。
これによって、割安なタイミングでの買い増しが自然に実現し、平均取得価格を抑える効果が期待できます。
売却しないので税金がかからない
特定口座での売却によるリバランスは、利益が出ていると課税対象になります。
ノーセルリバランスでは売却を伴わないため、税コストを気にせずに配分を整えられます。
- 割高な資産への投資を控えられる
- 割安な資産に多く投資できる
- 税金を気にせず調整できる
ノーセルリバランスのデメリット
自動積立が使えない
ノーセルリバランスは、毎回の投資額を調整する必要があるため、新NISAのつみたて投資枠やiDeCoのような自動積立制度では使えません。
使えるのは、新NISAの成長投資枠や特定口座など、手動購入が可能な枠のみです。
購入金額の計算が手間
評価額と理想配分を確認しながら、資産ごとに追加購入額を計算する必要があります。
スプレッドシートなどで効率化はできますが、毎回の計算が面倒に感じることもあるでしょう。
自動積立より成果が良くなるとは限らない
たとえば、「控えめに買った資産がその後さらに上がり続けた」場合は、結果的にノーセルリバランスより自動積立の方がリターンが良かったというケースもあり得ます。
- 自動積立制度では使えない
- 投資金額を毎回調整する必要がある
- 必ずしも自動積立より得とは限らない
まとめ:自分で考えて買いたい人に向いている
インデックス投資は「続けること」が大前提。
そういう意味で、自動積立は本当に優れた仕組みです。
でも私は、「価格が上がった資産にも、また同じだけ投資すること」に違和感がありました。
ノーセルリバランスは、その違和感を解消してくれる方法でした。
もしあなたも、「買い方をもう少し工夫してみたい」と思っているなら、ノーセルリバランスは選択肢としてアリだと思います。
ノーセルリバランスを始めてみよう
ノーセルリバランスは、価格や配分の変化を見ながら、自分で投資の判断をしていきたい人に向いている方法です。
高くなったら控えめに、安くなったら多めに──そのシンプルなルールを実践するだけでも、納得感のある投資ができます。
まずは特定口座や新NISAの成長投資枠などで、小さく始めてみてはいかがでしょうか?
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※ ノーセルリバランスは毎回手動での投資判断が必要です。ご自身のスタイルに合わせて、無理のない範囲で取り入れてください。