前回からの続きです。
アルバム全体の印象
「Thirty Three & 1/3」は1976年11月に発売されました。
ジョージがソロになってからちょうど5作目のアルバムです。
ジョージが33歳の時ですね。
と言うのも当たり前で、そもそもこの「33 1/3」というアルバム名はジョージの年齢に因んで付けられたものなのです。
しかしよくよく考えてみるとビートルズ解散時でもジョージはまだ27歳ですか、ここまで凄まじい人生を送っていますね。
さて前作は「Extra Texture」と言うアルバムで1975年9月発売でしたので、約1年振りの新作と言うことになりますね。
前作は全体的にどんよりした仕上がりだったので「ジョージ、大丈夫か?」と思いましたが、このアルバムではまた生気を取り戻して良い曲をたくさん作っています。
アルバムの出来としては、個人的にはジョージの中でもトップクラスだと思います。
良い曲
このアルバムで特に良いと思う曲は次の4曲です。
まず3曲目の「Beautiful Girl」はとても良い感じですね。
入りのメロディもサビのメロディも非常にキレイに仕上がっています。
この曲などはビートルズ時代に作っていたらシングルになっていてもおかしくないと思いますけどね、まあジョンとポールに反対されると思いますけど。
あの二人はどうもジョージが良い曲を持ってきてもわざと無視していたフシがありますからね。(それも理解できますけど)
次に5曲目の「See Yourself」は、やはり外せませんかね。
いかにもジョージらしいというか、裏を取ったメロディが何とも言えず渋くてカッコいいですね。
最初聴いた時は変な曲だと思いますが、何度か聴いているうちに病みつきになってきます。
時間も短めにまとめてスパッと終わるのもいいですね。
その次の「It’s What You Value」も個人的には外せませんね。
まずイントロからしてもうカッコいいのですが、歌に入る時の歌い方がまたカッコいいんですよね。
サビに入るといつものジョージらしく一本調子のメロディで押していく感じですが、そこもグイグイ来ていい感じです。
まあこの曲が良いと言う人は他にあまりいないかもしれませんが…。
9曲目の「Crackerbox Palace」は、ジョージファンのみならず全ての人に聴いてほしいと思う曲ですね。
メロディはジョージにしてはキャッチ―な方ですし、曲としてキッチリ完成しているという感じです。
シングルにもなっておりミュージックビデオも作っていますが、モンティ・パイソンのエリック・アイドルが監督したらしいですね。
独特な世界観になっておりよく分かりませんけど、不気味だけど面白いのでぜひ一度観てほしいですね。
撮影場所はジョージの自宅だったそうですが、それにしてもフライアー・パークは広大ですね。
お城のような家もあり、池もあり、森もあり、一度でいいからこんな家に住んでみたいものです。
さすが元ビートルズ、お金持っています。
その他の曲
まず1曲目の「Woman Don’t Cry For Me」ですが、ジョージが書いたとは思えないほどカッコいい曲です。
イントロのギターからして既にカッコいいですからね、曲のカッコ良さとしてはこのアルバムの中でも突出しています。
演奏もカッコいいのですが、ジョージのボーカルが相変わらずヘロヘロなのが少し笑えます。
2曲目の「Dear One」は最初長くお経のようなメロディが続き、またジョージのお経が始まるのかと一瞬嫌な予感がします。
しかしその長いお経が終わるとようやく軽快に歌が始まりこれでひと安心かと思いきや、今度はそれを延々繰り返します。
そしてまたお経に戻っていくという…、まあそんな曲です。
4曲目の「This Song」は、このアルバムからのファーストシングルになった曲です。
盗作で裁判沙汰になった「My Sweet Lord」のことを歌っており、ミュージックビデオも裁判所っぽいところで撮影しています。
曲自体はなかなか軽快で良いんですけどね、取り立ててすごく良い出来と言う感じではありませんね。
7曲目の「True Love」は、コール・ポーターと言う人が作った曲のようですね。(詳しくは知りませんけど)
つい最近まで全曲ジョージの作曲だと思って聴いていたので、少しびっくりです。
というのも、ジョージが作曲したと言われても全く違和感がない曲ですからね。
むしろ1曲目の方が、ジョージ作曲と聞くと「ウソだろ?」と思うくらいです。
8曲目の「Pure Smokey」もまたジョージ独特の曲ですね。
曲が始まってからフェイドインまで時間があり、歌に入るまでもしばらく演奏が続くので一瞬インストゥルメンタルかと思うくらいです。
というか、そのままインストゥルメンタルでもいいと思うくらいギターも渋くて良いですね。
ジョージの歌はいつも通りか細く歌詞の乗せ方も独特なので、何を歌っているか聞き取りにくいですね。
まあ雰囲気で聴かせる曲と言う感じでしょうか。
ラストの「Learning How To Love You」はいい旋律ですが、最初から終わりまでずっとこれで押しまくっております。
やや単調と言った感じで、個人的にはただ単に眠くなる曲としか思っていません。
まあアルバム最後の曲ですからそれでいいのかもしれませんけどね…。
ということで、今回は終わりにします。