【ジョージ・ハリスン】Cloud Nineを独断と偏見でレビュー

音楽配信_タイトル

前作からの続きです。

アルバム全体の印象

「Cloud Nine」は1987年11月に発売されました。

このアルバムは、売り上げが全然振るわなかった前作「Gone Troppo」から5年ぶりに発売されました。

その頃はもうレコードではなくてCDでしたが、すでにジョージのファンだったのでおそらく発売後すぐに買ったと思いますね。

最初にアルバムを聴いた印象は「これホントにジョージのアルバムなのか?」というものでした。

それまで「All Things Must Pass」と「Living in the Material World」しか聴いたことがなかったので衝撃でしたね。

1曲1曲がいつになくキャッチ―かつポップで、いかにも1980年代の音楽と言う感じでしたからね。

その理由は後から分かったのですが、間違いなく共同プロデュースをしたジェフ・リンの影響でしょうね。

ジェフ・リンはELOというバンドをやっていて、全米でヒット曲をガンガン飛ばしていたらしいですからね。

個人的には「Mr. Blue Sky」しか知りませんけど。(昔イチローと蒼井優の一番搾りのCMで流れていた)

あと、このアルバムの時はいつになくジョージの喉の調子が良かったのでしょうか?

こんなに歌声がクリアなのはビートルズの時以来かもしれませんね。

いつもこれくらい頑張って歌っていれば、他のアルバムももっとセールスが伸びたと思うのですが…。

このアルバムが名作かと言うと、ジョージのアルバムと言う意味では傑作とは言えないと思います。

しかし他のジョージのアルバムよりは取っ付きやすいので、入口としてはいいかもしれませんね。

良い曲

このアルバムには基本的に良い曲しか入っていませんが、その中でも特に良いと思われる曲は次の曲です。

まずは3曲目の「Fish On The Sand」ですね。

まあ「君がいなければ僕は砂の上の魚だよ」という歌詞からも分かる通りラブソングですが、心地良くロックしており、非常に覚えやすい良い曲だと思いますね。

クレジットを見るとジョージ単独で作ったようになっていますが、ホントですかね?

ジョージがこんな曲を書くイメージがありませんので、ジェフ・リンも大いに手伝ったんだろうと思います。

次は6曲目の「When We Was Fab」です。

この曲はシングルカットもされたようで、全米でも20位くらいまで上がっていますね。

Fabと言うのは「とてもいい」とかそういう意味なのだそうですが、オレたちがファブだった頃と言うことで要はビートルズ時代の頃ですね。

少しインドっぽい感じもあり、ジョージっぽいと言えばジョージっぽいかな?と言う気もします。

曲もキャッチ―でいいですが、それよりもミュージックビデオが面白くなっています。

ギターを演奏しているジョージの体から手がたくさん生えてきたり、一瞬ビートルズの4人が勢揃いしているような描写もあります。

ジョージがギター、リンゴがドラム、そして黒いセイウチの格好をした男が左利き用のベースを弾いているところを、「Imagine」のアルバムを抱えた男がジョンの横顔を見せながら横切っていきます。

残念ながら黒いセイウチはポール本人ではないようですが、なかなか楽しいミュージックビデオです。

7曲目の「Devil’s Radio」もかなりいいですね。

これは「悪魔のラジオ」からも分かる通り、芸能界のゴシップや嘘ばかりを流し続けるテレビやラジオを強烈に皮肉った曲です。

今のテレビの状況もひどいですが、30年以上前からそれが分かっていたジョージも大したものです。

なかなかいい感じでロックしています。

8曲目の「Someplace Else」もいいですね。

こちらは一転して非常にメロディアスなナンバーとなっております。

どこが良いかはまあ聴けば分かるということですが、ジョージのスライドギターもいい感じに鳴っています。

最後にもう1曲、9曲目の「Wreck of the Hesperus」です。

これも3曲目の「Fish On The Sand」同様覚えやすいロック調の曲ですが、こちらの方がややヘビーです。

普通の曲

1曲目の「Cloud 9」はアルバムのタイトルにもなった曲ですが、まあ落ち着いたトーンで渋いですけどハマるところまでは行きませんね。

右と左から流れるギターのどちらかがジョージ、どちらかがエリック・クラプトンなのだそうです。

次に2曲目の「That’s What It Takes」ですね。

こちらはジョージの曲と言うよりも完全にジェフ主導と言った感じで、ハッキリ言ってポップスです。

まあ悪くはありませんがジョージのアルバムで求めるような曲ではありませんね。

何と言うかメロディに深みがありません。

4曲目の「Just for Today」はジョージの曲でしょうが、スローで美しいバラード調の曲です。

しかし、いつものアルバムならしっくり来ていたのでしょうがこのアルバムには合いませんね。

スライドギターはいい感じですけど。

5曲目の「This is Love」は人気があるようですけど、個人的にはもうひとつです。

まあ覚えやすいサビがあったりして曲はいいんですけどね、ジョージにしては少し軽過ぎます。

他の人が歌った方が良かったのではないでしょうか?

あとは10曲目の「Breath Away from Heaven」もスローなバラードで、このアルバムではもうひとつですね。

悪くはありませんが、ハマるところまでは行きません。

最後に11曲目の「Got My Mind Set on You」です。

この曲はシングルで全米1位も取りましたので、このアルバムでも一番有名な曲でしょうね。

しかし昔からのジョージファンでこの曲がいいという人はいるんですかね?

まあ他人の曲ですし、ジェフ・リンのプロデュースに乗ったということなんでしょう。

ちなみにミュージックビデオは2種類あるとのことです。

ということで、今回は終わりにします。