積立投資といえば、資産ごとの投資金額を固定する自動積立が一般的です。
ただ、私は毎月の投資では「ノーセルリバランス」を取り入れています。
こちらは、資産ごとの購入する金額を毎回調整する投資方法です。(全体の投資額は固定)
この記事では、ノーセルリバランスの特徴や、自動積立との違い、メリット・デメリットを解説します。
自動積立で良いのか迷っている方にとって、選択肢を広げる参考になればと思います。
リバランスには2種類ある
リバランスとは、運用中に崩れた資産の割合を元に戻す作業のことです。
資産は値動きによって比率が崩れていくため、定期的に調整が必要になります。
リバランスの方法は細かく分類すればいくつかありますが、実用上は2つに集約できます。
ここでは、「通常のリバランス」と「ノーセルリバランス」の2種類を紹介します。
通常のリバランス
通常のリバランスでは、資産の売買で崩れた割合を元に戻します。
ポートフォリオが資産A、Bとも50%の場合、評価額が増えた資産を売って、減った資産を買い増します。
表1:通常のリバランスの例
資産 | 評価額 | 調整方法 | 調整後の評価額 |
資産A | 12万円 | −2万円 | 10万円 |
資産B | 8万円 | +2万円 | 10万円 |
(出典:筆者の計算)
この例では、資産Aを2万円分売却して、その2万円で資産Bを買い増します。
その結果、両方の評価額が10万円となり、50%ずつに戻ります。
ノーセルリバランス
ノーセルリバランスでは、資産の購入のみで崩れた割合を元に戻します。
ポートフォリオが資産A、Bとも50%の場合、保有資産は売却せず、追加投資だけで比率を整えます。
表2:ノーセルリバランスの例
資産 | 評価額 | 調整方法 | 調整後の評価額 |
資産A | 12万円 | 調整なし | 12万円 |
資産B | 8万円 | +4万円 | 12万円 |
(出典:筆者の計算)
この例では、増えた資産Aはそのままにし、減った資産Bにだけ4万円を追加投資しています。
その結果、両方の評価額が12万円となり、50%ずつに戻ります。
私がノーセルリバランスを好む理由
ノーセルリバランスは、リバランスの手法のひとつです。
しかし、毎月同じ金額でノーセルリバランスすることにより、自動積立の代わりにもなります。
自動積立では高い時も同じ金額を買ってしまう
自動積立は「価格に関係なく一定額を買い続ける」手法です。
これはドルコスト平均法と呼ばれ、価格が高い時は少ない口数を、価格が安い時はたくさんの口数を買える、理にかなった方法です。
しかし、価格が高いときでも安いときでも同じ金額を投資することになります。
私はこれが非常に気に入らないので、自動積立が好きではありません。
ノーセルリバランスでは金額が調整できる
一方、ノーセルリバランスでは、買い増しによってポートフォリオを調整します。
ポートフォリオが33%ずつの資産A、B、Cに投資する場合は、次のようになります。
表3:ノーセルリバランスによる資産ごとの投資額の調整例
資産 | 前回の評価額 | 投資前の評価額 | 投資額 | 投資後の評価額 |
資産A | 10万円 | 12万円(+2万円) | 1万円 | 13万円 |
資産B | 10万円 | 10万円(増減なし) | 3万円 | 13万円 |
資産C | 10万円 | 8万円(-2万円) | 5万円 | 13万円 |
(出典:筆者の計算)
このように、前回より増えた(=上がった)資産Aの投資額は少なく、減った(=下がった)資産Cの投資額は自動的に多くなります。
要は、ポートフォリオ内で相対的に高くなっている資産の購入金額を減らせるということです。
私はこの点を非常に気に入っているため、ノーセルリバランスを採用しています。
ポートフォリオが自然に整う
ノーセルリバランスでは、追加購入するだけでポートフォリオの割合が整っていきます。
そのため、リバランスをする必要がほとんどなくなります。
リバランスは簡単そうに見えますが、実際にやってみるとなかなか難しいですからね。
実施するタイミングはもちろん、購入と売却を同時にするのか、それとも売却してお金が入ってから購入するのか、意外と悩みます。
売却して利益が出た時に、税金を取られるのもイヤですからね。
当然デメリットもある
ノーセルリバランスには、メリットもありますがデメリットも存在します。
計算が面倒
ノーセルリバランスでは、毎回どの資産をいくら買うかを自分で計算する必要があります。
まず、現在の資産ごとの評価額を出して、全体に対する割合を調べます。
次に、目標とする比率との差をもとに、買い増す資産の金額を割り出さなければいけません。
そのため、購入日は計算するのにある程度の時間を取られます。
スプレッドシートで計算表を作ってしまえば、それほど手間ではありませんが。
積立設定できない
ノーセルリバランスでは毎回投資額が変化するため、積立設定できません。
そのため、手動で購入する必要があります。
また、積立設定が必須のiDeCoや新NISAのつみたて投資枠では使えません。
ノーセルリバランスができるのは、新NISAの成長投資枠と特定口座のみになります。
個人的には新NISAは成長投資枠に統一してほしいんですけどね。
自動積立より儲かるとは限らない
ノーセルリバランスは自動積立より手間がかかります。
しかし、だからと言って必ず自動積立より儲かるわけではありません。
たとえば、1つの資産だけが永続的に上がり続けている場合は、自動積立している方が儲かります。
ノーセルリバランスは、あくまでポートフォリオを遵守したい人向けの投資方法です。
まとめ:ノーセルリバランスは人を選ぶ
ノーセルリバランスは、売却せずに追加投資だけで比率を整える手法です。
価格の高低に応じて購入額を調整できる点が、大きなメリットです。
一方で、手間がかかる、使える口座の制約などのデメリットもあります。
個人的には多少手間がかかっても、毎月ノーセルリバランスしながら買う方が好きですけどね。
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