iDeCoと新NISA、どちらを優先すべきかは、悩ましい問題です。
世間的には新NISAの方が使いやすく有利だという意見が多いですが、本当にそうなのかは条件次第だと思っています。
この記事では、iDeCoに不利な条件で、税引後の受取金額を比較してみました。
iDeCoを始めようか迷っている方、自分の条件で損得を見極めたい方におすすめです。
基本の比較条件
まずは、新NISAとiDeCoを比較するための前提条件を決めておきます。
- 投資期間:10年(iDeCoは一時金で受け取り)
- 積立金額:2万3000円
- 利回り:6%
- iDeCoの節税額:課税所得195万円未満を想定(所得税5%+住民税10%=合計15%)
- iDeCoの手数料:初回2829円、毎月171円、受取時440円
iDeCoに不利な条件でやろうと思うので、節税額は15%、退職所得控除なしで計算します。
所得税0%の場合は節税できないため、新NISAには絶対勝てないので計算しません。
税金の計算で参考にしたのは以下のサイトです。
表1:iDeCo vs 新NISA(基本比較)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 3,704,064 | 414,000 | 279,744 | 440 | 3,837,880 |
新NISA | 3,736,889 | 0 | 0 | 0 | 3,736,889 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | 100,991 |
(出典:筆者の計算、以後の表も同様)
さて、この条件ではiDeCoの方がお得という結果が出ました。
iDeCoは毎月の手数料がある分、評価額では新NISAに若干負けます。
さらに、受け取り時に税金がかかります。
それを節税分で補うことができるかどうかが、勝負の分かれ目になりそうです。
利回りが変わるとどうなる?
基本は6%で計算しましたが、利回りが変わるとどうなるかを検証してみます。
表2:iDeCo vs 新NISA(利回り0%)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 2,736,651 | 414,000 | 206,686 | 440 | 2,943,525 |
新NISA | 2,760,000 | 0 | 0 | 0 | 2,760,000 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | 183,525 |
利回り0%では、新NISAがまったく増えないため、iDeCoの圧勝となりました。
表3:iDeCo vs 新NISA(利回り10%)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 4,555,412 | 414,000 | 360,634 | 440 | 4,608,338 |
新NISA | 4,596,868 | 0 | 0 | 0 | 4,596,868 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | 11,470 |
利回り10%では、税金が増えたため、新NISAとの差がほとんどなくなりました。
積立金額が変わるとどうなる?
基本は2万3000円で計算しましたが、積立金額が変わるとどうなるかを検証してみます。
表4:iDeCo vs 新NISA(積立金額5000円)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 779,542 | 90,000 | 58,758 | 440 | 810,344 |
新NISA | 812,367 | 0 | 0 | 0 | 812,367 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | −2,023 |
iDeCoの最低拠出額の5000円では、毎月171円の手数料が響いてしまい、iDeCoが少し負けますね。
表5:iDeCo vs 新NISA(積立金額6万8000円)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 11,015,369 | 1,224,000 | 1,238,751 | 440 | 11,000,178 |
新NISA | 11,048,194 | 0 | 0 | 0 | 11,048,194 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | −48,016 |
iDeCoの最大拠出額の68000円では、今度は税金が増えてしまい負けてしまいます。
積立年数を変えたらどうなる?
基本は10年で計算しましたが、積立年数が変わるとどうなるかを検証していきます。
表6:iDeCo vs 新NISA(積立年数20年)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 10,342,522 | 828,000 | 1,136,540 | 440 | 10,033,542 |
新NISA | 10,429,088 | 0 | 0 | 0 | 10,429,088 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | −395,546 |
積立年数を20年に増やした場合、税金が増えてしまい、新NISAに負けてしまいます。
表7:iDeCo vs 新NISA(積立年数30年)
区分 | 評価額 | 節税分 | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 22,230,987 | 1,242,000 | 3,288,220 | 440 | 20,184,327 |
新NISA | 22,413,798 | 0 | 0 | 0 | 22,413,798 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | −2,229,471 |
積立年数を30年に増やした場合、さらに税金が増え、新NISAの圧勝となっています。
節税分を運用したらどうなる?
今までは節税分を現金として足していましたが、それではちょっとイマイチですよね。
なので、節税分を特定口座で再投資(利回り6%)してみることにします。
これはiDeCoに有利に働くため、iDeCoが負けているパターンのみ検証してみます。
表8:iDeCo vs 新NISA(積立金額5000円・節税分再投資)
区分 | 評価額 | 節税分(再投資) | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 779,542 | 121,855 | 65,229 | 440 | 835,728 |
新NISA | 812,367 | 0 | 0 | 0 | 812,367 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | 23,244 |
iDeCoの最低拠出額の5000円では、節税分が9万円→12万1855円に増え、iDeCoが上回りました。
表9:iDeCo vs 新NISA(積立金額6万8000円・節税分再投資)
区分 | 評価額 | 節税分(再投資) | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 11,015,369 | 1,657,229 | 1,326,761 | 440 | 11,345,397 |
新NISA | 11,048,194 | 0 | 0 | 0 | 11,048,194 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | 297,203 |
iDeCoの最大拠出額の68000円では、節税分が122万4000円→165万7229円に増え、iDeCoが上回りました。
表10:iDeCo vs 新NISA(積立年数20年・節税分再投資)
区分 | 評価額 | 節税分(再投資) | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 10,342,522 | 1,564,363 | 1,286,132 | 440 | 10,620,313 |
新NISA | 10,429,088 | 0 | 0 | 0 | 10,429,088 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | 191,225 |
積立年数を20年に増やした場合、節税分が82万8000円→156万4363円に増え、iDeCoが上回りました。
表11:iDeCo vs 新NISA(積立年数30年・節税分再投資)
区分 | 評価額 | 節税分(再投資) | 税金 | 受取手数料 | 受取金額 |
iDeCo | 22,230,987 | 3,362,069 | 3,718,912 | 440 | 21,873,704 |
新NISA | 22,413,798 | 0 | 0 | 0 | 22,413,798 |
iDeCo − 新NISA | — | — | — | — | −540,094 |
積立年数を30年に増やした場合、節税分が124万2000円→336万2069円に増えましたが、それでも新NISAには負けてしまいます。
まとめ:iDeCo VS 新NISA
この記事では、iDeCoと新NISAの受取金額をいろいろな条件で比較してみました。
結果を見ると、評価額が増えるほどiDeCoの税金が増え、新NISAが有利になるようです。
節税分を再投資することでカバーできますが、それでも評価額が2000万円ほどになると苦しいですね。
今回はiDeCoに不利な条件で検証しましたが、節税額を増やして退職所得控除も使えばiDeCoがもっと有利になるはずです。