退職1年目の固定支出は、今の収入ではなく「退職直前」や「前年」の数字を基に決まります。
だからこそ、会社を辞める前にだいたいいくら必要になるかだけでも知っておかないと、普通にのけぞります。
この記事では、退職1年目の主な固定支出である健康保険料・年金保険料・住民税について、私が実際にいくら払ったかを書いていきます。
これから会社を辞めようとしている人の参考になるかもしれません。
任意継続の保険料の決まり方

制度の仕組み
任意継続の健康保険料は、「退職直前の年収そのもの」で決まるわけではありません。
土台になるのは、毎月の給与を等級に当てはめた「標準報酬月額」です。
そして退職1年目に効いてくるのは、計算式というより負担のしかたです。
会社員のころは会社と折半だった保険料が、任意継続では全額自己負担になります。
退職1年目に必要な範囲だけ、計算の骨格を分解するとこうです。
- 1.まず「任意継続に使う標準報酬月額」を決める
協会けんぽの場合、任意継続の標準報酬月額は「退職時点の標準報酬月額」と「協会けんぽ全体の平均を基準にした上限」のどちらか少ない額になります。 - 2.上限が効く
令和7年度は、この上限が標準報酬月額32万円に該当するため、退職時点が32万円超でも「32万円で頭打ち」になります。
なお、この上限(平均額ベース)は毎年度見直されます。 - 3.月額を計算する
標準報酬月額×保険料率で月額保険料が決まります(保険料率は都道府県支部ごとに異なります)。 - 4.40歳以上65歳未満は介護分が含まれる
この年齢帯は介護保険分も含まれるため、同じ土台でも上がります。 - 5.最後に「全額自己負担」になる
会社員のころは折半でしたが、任意継続では上で計算した保険料を自分が全額払います。
つまり退職1年目は、「保険料の土台は退職時点の給与水準のまま」なのに、「折半だけが消える」という構造になります。
標準報酬月額は、退職前なら「ねんきん定期便(またはねんきんネット)」の標準報酬月額欄で確認できます。
また概算だけなら、給与明細に載っている「健康保険料(本人負担)」のだいたい2倍が任意継続後の目安になりやすいです(上限の有無や介護分の対象かどうかで前後します)。
ここからは、私の実例です。
私のケース
会社を辞める前の私の年収は約600万円。
私の場合、会社を辞めてからの健康保険は、任意継続と国民健康保険の2つの選択肢がありました。
総務から「任意継続の方が安くなりそう」と言われたため、任意継続を選択しました。
任意継続の保険料は、退職時点の標準報酬月額を基に計算されます。
さらに、会社員のころは会社と折半だった保険料が、任意継続では全額自己負担になるため、退職直後は負担が重くなりやすいです。
私の場合、退職1年目の健康保険料は月額3万5400円でした。
最初に通知書を見たときは、思わずのけぞりましたね(笑)
これが1年となると、42万4800円になります。
健康保険料だけでこれだけかかるのは、無職になったばかりの人間にとっては痛いですよね。
退職1年目の健康保険料は、退職直前の水準をベースに決まり、会社負担もなくなるため、とにかく高い。
これが私の実感ですね。
年金の負担はこう変わる

制度の仕組み
年金は、会社員のころと会社を辞めたあとで、計算の考え方が切り替わります。
会社員のころ(厚生年金)は、給与と賞与を土台にして保険料が決まる「比例タイプ」です。
しかも会社員は労使折半なので、給与明細で天引きされていたのは半分だけで、残り半分は会社が負担していました。
退職するとこの仕組みが終わり、国民年金に切り替わります。
国民年金は「定額タイプ」で、収入に比例していません。
つまり退職後は、収入が落ちても支払いが軽くならない固定費になります。
会社員のころと退職後を、計算の観点だけに絞って並べるとこうです。
- 会社員のころ(厚生年金)
標準報酬月額と標準賞与額を土台にして保険料が決まり、労使折半で負担します。 - 退職後(国民年金)
年度で決まる定額を、自分で納付する形になります。 - 退職後に重く見える理由
天引きが消えて、「金額」と「支払う行為」が丸見えになるからです。 - 前納の意味
前納は割引があるので、「まとめて払って固定費を消す」という発想が成立します。
条件を満たすと、国民年金には保険料免除・納付猶予などで負担を一時的に下げられる制度があります。
ここからは、私の実例です。
私のケース
退職すると、厚生年金から国民年金に切り替わります。
こちらは退職直前の年収は関係なく、誰でも一律の保険料になっています。
保険料は年度によって微妙に変化しますが、令和7年度は月額1万7510円です。
なので、単純計算すると1年で21万120円です。
これもまあまあの金額になります。
ちなみに、国民年金保険料は前納(前払い)すると割引があります。
2年前納が一番割引額が大きくなるので、私は2年前納しました。
ただ、約42万円前後(年度の金額で微妙に変わります)を退職した月か翌月に納付しろと言われたので、気絶しそうになりました。
まあ、「そのあと2年間は納付しなくていい」と自分に言い聞かせて納付しましたが(笑)
国民年金保険料は、収入に関係なく毎月定額を払うことになるので、地味に痛い。
これが私の実感ですね。
住民税は前年で決まる

制度の仕組み
住民税が退職1年目に刺さるのは、基本が「前年課税」だからです。
退職して収入が落ちても、前年(1月〜12月)に稼いでいれば翌年に請求が来ます。
住民税の計算方法を、必要なところだけ抜くとこうです。
- 1.課税所得を作る
所得-所得控除=課税所得です。 - 2.所得割を出す
課税所得×税率で計算します。
個人住民税の所得割は一律10%が基本です。 - 3.均等割を足す
所得に関係なく一定額が上乗せされます(自治体で金額が違います)。 - 4.森林環境税を足す
森林環境税は年額1000円で、住民税とあわせて徴収されます。 - 5.税額控除を引く
ふるさと納税などの税額控除があれば、最後に差し引かれます。
つまり住民税は、「計算は前年、請求は退職後」という時差攻撃になります。
退職のタイミングや会社の処理によっては、退職月の給与や退職金から住民税が一括徴収される場合があります。
また退職後は普通徴収に切り替わり、自治体から届く納付書で年4回に分けて払う形になることが多いです。
ここからは、私の実例です。
石川県「個人住民税(県民税)のしくみ」/林野庁「森林環境税及び森林環境譲与税」
私のケース
先ほども書きましたが、会社を辞める前の私の年収は約600万円。
私は4月で会社を辞めましたが、放っておいても住民税の通知書は6月に届きました。
役所もそういう対応だけは早いですね(笑)
それはともかくとして、通知書に書かれていた金額は32万円ほど。
会社員のころは天引きだったので気にしていませんでしたが、けっこう払っていたんですね。
まあ、前年にふるさと納税で寄付した7万2000円のうち7万円が控除されているのを確認できて安心しました。
実質2000円でもらった黒毛和牛、いくら、うに、うなぎは、おいしく頂きました。
話は逸れましたが、退職1年目の住民税は、前年の所得を基に計算されるため、けっこう高い。
これが私の実感ですね。
まとめ:退職1年目は固定費が刺さる

この記事では、退職1年目の主な固定支出である健康保険料・年金保険料・住民税について、私が実際にいくら払ったかを書いていきました。
私の場合は、健康保険料が約42万円、国民年金保険料が約21万円、住民税が約32万円でした。
ただ、国民年金保険料を2年前納したので、実際に支払った金額は100万円を超えてしまいましたが(笑)
なので、何も考えずに会社を辞めてしまうと、普通にしんどいです。
※本記事は2025年12月時点の情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください。




