少ない資産でFIREを目指すなら、実家FIREは有力な選択肢のひとつです。
ただ、親と同居することになるため、なかなか踏み切れない人もいると思います。
この記事では、私の経験をもとに、実家FIREのメリットとデメリットを書いていきます。
これから実家FIREをしようと考えている人の参考になるかもしれません。
実家FIREのメリット

住居費がかからない
FIREを目指すうえで、最も重たくのしかかってくる固定費は家賃です。
全国平均を調べてみると、だいたい月6万円弱が相場のようです。
表1:全国平均家賃(契約ベース)
| 地域 | 1部屋(円/月) | 2部屋(円/月) | 3部屋(円/月) | 総平均賃料(円/月) |
| 全国 | ¥53,668 | ¥59,935 | ¥68,427 | ¥57,775 |
(出典:全国賃貸管理ビジネス協会)
この「月6万円の家賃」、FIRE後に支払うにはざっくり2000万円の資産が必要という計算になります。(1000万円の手取り=月3万円として計算)
言ってしまえば、FIREするための資産が2000万円減らせるようなものです。
もちろん、親から「ちょっと家に入れて」と言われることはあるかもしれません。
しかし、それも話し合い次第でどうにでもなる範囲でしょう。
親に多少取られたとしても、それは言ってみれば家の中で回るお金。
赤の他人の金持ち大家さんの懐に入るわけではありませんからね。
家に住むだけで2000万円浮くという実家FIREのこのインパクトは、やはり無視できません。
車などの固定費も削れる
実家FIREのいいところは、家賃以外の固定費もごっそり削れることです。
たとえば車。
地方だと、もうほぼ必須ですよね。
一人暮らしなら自分用の車を持つことになりますが、実家なら親の車を共用できる可能性が出てきます。
参考までに、車の維持費をざっくり出してみるとこんな感じです。
表2:自動車の月々の維持費(ボディタイプ別)
| ボディタイプ | ガソリン代 | 任意保険 | その他 | 合計(月) |
| 軽(K) | ¥5,456 | ¥1,953 | ¥16,923 | ¥24,332 |
| コンパクトカー | ¥5,826 | ¥2,298 | ¥19,813 | ¥27,937 |
| ミニバン | ¥7,917 | ¥2,203 | ¥20,489 | ¥30,609 |
| SUV | ¥5,523 | ¥2,275 | ¥20,231 | ¥28,029 |
(出典:ガリバー)
だいたい月3万円前後になりますが、月3万円支出するには資産1000万円が必要。
つまり、車を持たずに済む=1000万円節約できるという話になります。
もちろん、親が車を使わせてくれるかどうかは家庭次第ですし、使うタイミングがかぶれば調整も必要になりますが…。
あと、水道光熱費やネット代なども折半できれば、一人暮らしよりもずっと安く可能性もあります。
固定費が減れば減るほど、FIREに必要な資産が減っていくというわけです。
孤独になりにくい・安心感がある
お金以外のメリットとして、孤独を感じにくいというのも実家FIREの大きなポイントです。
FIRE後は社会との接点が減りやすく、一人暮らしだと孤独になりがちです。
その点、実家であれば、イヤでも親が近くにいるので、自然と会話の機会が生まれます。
たとえ雑談程度でも、いい気分転換になります。
高齢者の調査では「もっと親と話しておけばよかった」という後悔の声が、常に上位に挙がっています。
今はピンとこなくても、将来的に「一緒に過ごしておいてよかった」と思える日が来るかもしれません。
もうひとつ、親の急病や災害時などにすぐ対応できるのも、実家暮らしの大きなメリットです。
体調が悪いときはすぐ病院に連れていけますし、大きな地震が起きたときもすぐに安否確認できます。
遠くに住んでいて、地震のあとに電話がつながらなかったら、心配になりますからね。
実家FIREのデメリット

母親にこき使われる
実家FIREでありがちなのが、母親にドライバー扱いされる問題です。
買い物、通院、役所、スーパーのはしご……とにかくちょっとしたことで「車出して」が飛んできます。
こちらの予定なんておかまいなし。
「暇なんだから、いいでしょ?」の一言で片付けられます。
父も高齢になってきて、あまり運転をしたがらないため、実質、家族専属のドライバーですね。
とはいえ、まったくのデメリットというわけでもありません。
運転はいい気分転換になりますし、移動中に母と軽く話す機会にもなります。
FIRE後は人と話す機会が減りがちなので、そうした時間が貴重に感じることもあります。
……とはいえ、それでも「暇人扱い」されていることには、多少なりとも苦言を呈したいところではありますが。
まあ、実際に暇なんですけどね(笑)
父親に働けと言われる
父は、今でも私の資産が減り続けていると思っています。
そのたびに「金は増えている」と答えるのですが、どうも信じられないようです。
実際、会社を辞めてから現在まで(2025年11月)に、資産は2900万円ほど増えています。
しかし、働いていないのにお金が増えるという仕組みが、父にはまったくピンと来ていないようです。
試しに「FIREしてる」なんて言おうものなら、放火犯だと疑われかねません(笑)
こちらとしては、もはや説明するのも億劫になっていて、最近は「まあいいんだよ」と軽く流しています。
父にとっては、労働で対価を得る以外の金の稼ぎ方は存在しないという感覚なんでしょう。
お金に働かせて不労所得を得るという発想は皆無です。
競馬やパチンコなど、ギャンブルは好きなんですけどね(笑)
実家暮らし特有の窮屈さはある
私の場合、親が一軒家を二軒所有しており、そのうちの一つに住んでいます。
いわゆる同居ではないため、生活面でのストレスはほとんどありません。
ただ、これがもし一軒家だったら、かなり窮屈だったと思います。
四六時中親と顔を合わせる生活というのは、正直しんどいと思いますね。
その場合、実家FIREしていたかどうかは何とも言えません。
もう少し資産を増やしてから、一人暮らしでFIREすることを選んだ可能性もあります。
もう一つ面倒くさいのは、親戚関係ですね。
親戚も親と同様に、私が働いていないことを不審に思っています。(たぶん)
親もどのように説明したら良いのか分からないため、気まずそうです。
私自身は自分が稼いだお金でFIREしているので、後ろめたさなどまったくないんですけどね。
まとめ:実家FIREの現実

この記事では、私の経験をもとに、実家FIREのメリットとデメリットを書きました。
メリットは、家賃や固定費を大きく削減できること、そして孤独感を感じにくいこと。
一方で、母にこき使われる、父に働けと言われる、そして人間関係の窮屈さなどもあります。
人によって向き不向きはありますが、「FIREの選択肢の一つ」としては十分アリだと思います。

