退職後の国民年金はこれだけ押さえる:手続き・扶養・免除と2年前納&付加年金のリアルな話

退職後の生活を考えながら、40代の日本人が自宅のリビングのテーブルで国民年金の払込票や通帳、ノートパソコン、電卓などを広げてお金の計算をしている様子。 退職手続き

退職後は、健康保険の切り替えや失業給付の手続きなど、やることが一気に増えます。

その中で、国民年金の手続きはつい後回しになりがちですが、実はとても大事なポイントです。

この記事では、退職後の国民年金の手続きとお得な納付方法について書いていきます。

これから退職しようと考えている人の参考になるかもしれません。

退職後の年金はどう変わる?

退職後の年金について考えながら、40代の日本人男性が自宅のリビングのテーブルで国民年金のお知らせの封筒や払込票、カレンダーを表示したノートパソコン、電卓などを広げて悩んでいる様子。

会社を辞めると、厚生年金の資格を失い、国民年金に切り替える必要があります。
ただし、退職した月のうちに次の会社で厚生年金に加入する場合など、月末時点でも厚生年金に加入している月は、国民年金保険料が発生しないこともあります。

ここでは、退職前に知っておきたい「どの区分になるか」「毎月いくらかかるか」「いつから払うことになるか」をざっくり整理します。

 

自分で払う場合(国民年金第1号)

退職して配偶者の扶養に入らない場合は、原則として国民年金第1号になります。

  • 対象になる人
    退職して会社の厚生年金の資格を失い、自分で国民年金保険料を払う20歳以上60歳未満の人。自営業・フリーランス・無職など。
  • 毎月の保険料
    収入に関係なく一律で、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の国民年金保険料は月額1万7510円。毎年度金額が見直されるため、最新の保険料は日本年金機構の公式情報で確認しておく。
  • 付加保険料
    第1号の人は、希望すれば月額400円の付加保険料を上乗せできる。将来受け取る老齢基礎年金が増える代わりに、現役時代の負担は少し増える。
  • いつから切り替わるか
    退職日の翌日(厚生年金の資格喪失日)から国民年金第1号に切り替わり、その月末時点でも第1号のままなら、その月分から保険料が発生するのが一般的。退職日の翌日から14日以内を目安に、住所地の市区町村窓口やマイナポータルで種別変更の手続きを行う。
  • 切り替えを忘れた場合
    手続きが遅れてもさかのぼって加入できるが、その期間の保険料は未納扱いで請求される。放置すると未納期間が増え、将来の年金額や障害・遺族年金の受給に悪影響が出る。

 

配偶者の扶養に入る場合(第3号)

配偶者が会社員や公務員で厚生年金に加入している場合、その扶養に入れるなら国民年金第3号被保険者という扱いになります。

  • 対象になる人
    厚生年金に加入している配偶者(第2号被保険者)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者で、原則として年収130万円未満かつ配偶者の年収の2分の1未満などの条件を満たす人。
  • 毎月の保険料
    自分で国民年金保険料を払う必要はなく、第1号と同じように保険料納付済期間としてカウントされる。
  • 保険料はどこから出るか
    第3号期間中の国民年金保険料は、自分ではなく配偶者が加入している厚生年金制度などの財源からまとめて拠出される仕組みになっている。
  • 手続きの流れ
    第3号に該当するときは、配偶者の勤務先(会社の総務・人事)を通じて届出をする。退職前に「自分は第3号に入れるか」「どんな書類が必要か」を配偶者の勤務先に確認しておくとスムーズ。
  • 注意しておきたいこと
    パート収入の増加などで年収130万円以上と見込まれるようになると、第3号から外れて、第1号(または勤務先で厚生年金に加入する場合は第2号)に切り替わる必要がある。届出を忘れると、本来第1号や第2号として保険料を払うべき期間が第3号のまま記録されてしまい、将来の年金請求時に減額や無年金リスクが生じる。

 

保険料が厳しい場合の免除・猶予

失業などでどうしても保険料の負担がきついときは、国民年金の保険料免除や納付猶予を使える場合があります。

  • こんなときに使う制度
    失業や収入減などで、通常どおり保険料を払うのが難しいときに使える救済制度。未納のまま放置するよりは、免除や猶予を申請しておいた方がまだダメージが小さい。
  • 主な種類
    全額免除・一部免除(4分の3・半額・4分の1)・納付猶予・学生納付特例などがあり、いずれも申請して審査に通る必要がある。
  • 年金額と追納の扱い
    全額免除期間は、将来の老齢基礎年金に「全額納付した場合の年金額の2分の1」が反映され、一部免除は払った割合に応じて反映される。納付猶予や学生納付特例の期間は、そのままだと年金額に反映されないが、原則10年以内なら追納して埋めることができる。
注意点:免除や猶予を使うと、そのままでは将来の年金額は全額納付した場合より少なくなります。

 

国民年金保険料の主な納付方法

退職後に第1号として自分で払う場合は、「いつ払うか」と「どう払うか」の2つの軸で考えると整理しやすくなります。

  • いつ払うか(毎月か前納か)
    毎月1か月分ずつ払うか、6か月分・1年分・2年分を前納するかを選べる。基本的には、期間をまとめて前納するほど1か月あたりの負担は少し軽くなる。
  • どう払うか(支払い方法)
    納付書(コンビニ払いなど)・口座振替・クレジットカード・スマホ決済アプリなどが使える。支払い方法によって、前納したときの割引額が多少変わります。

 

国民年金の納付方法とお得な2つの選び方

退職後の国民年金をできるだけお得に払おうと、40代の日本人が自宅のテーブルで国民年金の払込票やカレンダー、電卓、貯金箱を並べて2年前納と付加年金の金額を計算している様子。

国民年金の保険料を普通に払う場合は、2025年度だと毎月1万7510円です。

収入があろうがなかろうが、ずっと同じ金額を取られるので、これが地味にキツイんですよね。

そうは言っても納付しないわけにはいかないので、少しでもお得に払う方法を知っておく必要があります。

私がお得だと思うのは、2年前納することと、付加年金を納付することですね。

 

2年前納する方がお得

国民年金保険料は、2年前納(2年分まとめて払うこと)ができます。

2年前納にすると毎月払いより保険料が安くなり、2025年度〜2026年度分なら、支払方法にもよりますが2年間でおよそ1万5000〜1万7000円ほど割引になります。

私も2年前納しましたが、経験上、会社を辞める前に納付額を確認しておいた方がいいですね。

というのも、私は予備知識なしで年金事務所に行って、いきなり「40万円ほどを来月までに納付してください」と言われましたからね。

それを聞いた時は、さすがに「ウッ」となりました(笑)

まあ、「これで2年後の3月まで納付しなくてもよくなる」と自分に言い聞かせて、納付しましたが。

しかし、会社を辞めたばかりで40万円はなかなかキツイですよね。

そうならないためにも、2年前納の納付額は、会社を辞める前に確認しておいた方がいいと思います。

豆知識:2年前納は2年度単位なので、初回の支払いは13~24か月分のいずれかになります。そのため、納付額は申し込みの時期によって変わります。

 

付加年金は納付する

退職して国民年金を払うなら、付加年金は基本的に納付した方がいいと思います。

付加年金は、国民年金に月400円を上乗せするだけで、将来の年金が毎年「200円×納付月数」増える制度です。

例えば10年間付加年金を払うと、合計4万8000円納付して、将来の年金が毎年2万4000円増えるイメージですね。

つまり2年受け取れば元が取れて、3年目以降は受取額の方が増えていきます。

長生きすればするほどお得になるので、納付しておいて損はありません。

唯一の欠点は、どれだけお得でも毎月400円しか払えないところですね。

私は毎月1万円納付したいくらいですが、それはできないようです(笑)

注意点:国民年金基金に加入している人など、利用できないケースもあります。

 

まとめ:退職後の国民年金のポイント

退職後の国民年金の手続きと2年前納・付加年金の支払いを終え、40代の日本人男性が自宅のテーブルに年金の書類やスタンプ済みの払込票、カレンダー、電卓、貯金箱を並べて安心した表情で座っている様子。

この記事では、退職後の国民年金の手続きとお得な納付方法について書きました。
会社を辞めて厚生年金の資格を失ったあとは、14日以内に国民年金の手続きが必要なので、健康保険の手続きと同様、急がなければいけません。
私は納付方法は2年前納を選び、付加年金もあわせて納付しています。
免除や猶予は未納よりはマシですが、将来の年金額が減ってしまうので、私はあまりおすすめしませんね。

※ 本記事は2025年12月時点の情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください。