自分は基本的にノーセルリバランスをしながら購入しています。
リバランスの効果
インデックス投資で積立していると、時間が経つにつれて最初の設定から資産の割合が変わってきます。
増える資産もあれば減る資産もありますからね。
例えば、国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券を25%ずつ積み立てていたとします。
そのバランスが崩れた時に、下記の表のように最初の割合に戻すことをリバランスと言います。
リバランス前 | 増減 | リバランス後 | |
国内株式 | 2万4000円 | +1000円 | 2万5000円 |
先進国株式 | 2万8000円 | -3000円 | 2万5000円 |
国内債券 | 2万5000円 | 0円 | 2万5000円 |
先進国債券 | 2万3000円 | +2000円 | 2万5000円 |
平均より増えている資産は売って、平均より減っている資産は買って割合を戻します。
リバランスの効果については、金融庁のページにもひとつの見解が記載されています。
あくまで虫さんの見解ですが、「主目的はリスクコントロール、長い目で見るとパフォーマンスも良くなる傾向がある」となっています。
積立投資とノーセルリバランス
リバランスは基本的に、資産の割合が大きく崩れた時に実施します。
しかし普段の購入時にも、ノーセルリバランスすることで実施できます。
ノーセルリバランスとは、簡単に言えば売らずにリバランスすることです。
言葉では分かりづらいので、実際に積立投資する場合と比較してみます。
積立投資では
まず、積立投資で1万2000円増資する場合は次の表のようになります。
初回 | 増資前 | 増資額 | 増資後 | |
国内株式 | 2万5000円 | 2万4000円 | +3000円 | 2万7000円 |
先進国株式 | 2万5000円 | 2万8000円 | +3000円 | 3万1000円 |
国内債券 | 2万5000円 | 2万5000円 | +3000円 | 2万8000円 |
先進国債券 | 2万5000円 | 2万3000円 | +3000円 | 2万6000円 |
各資産25%ずつの配分の積立なら3000円ずつの増資になります。
増資後の時価評価額は、当然ですが各資産とも3000円増えただけです。
ノーセルリバランスでは
次に、ノーセルリバランスしながら1万2000円増資する場合は次の表のようになります。
初回 | 増資前 | 増資額 | 増資後 | |
国内株式 | 2万5000円 | 2万4000円 | +4000円 | 2万8000円 |
先進国株式 | 2万5000円 | 2万8000円 | 0円 | 2万8000円 |
国内債券 | 2万5000円 | 2万5000円 | +3000円 | 2万8000円 |
先進国債券 | 2万5000円 | 2万3000円 | +5000円 | 2万8000円 |
この場合は各資産25%ずつの配分でも、増資前の時点で増えていた先進国株式には増資しません。
その他の資産にだけ増資することで、増資後の資産が2万8000円(25%ずつ)になるように調整します。
ノーセルリバランスのメリット
自分が考えるノーセルリバランスのメリットは、次のようなことです。
毎回購入時に実施することが条件です。
- 節税になる
- 資産配分が崩れにくい
- 平均取得価格を抑えられる
節税になる
通常のリバランスでは、割合の増えた資産を売ることになります。
割合の増えた資産というのは、言い換えれば儲かっている資産だということです。
それを売ると、当然譲渡益が発生してしまいますよね。
となると、もちろん譲渡益に対して税金(20%ほど)がかかってしまいます。
それに対してノーセルリバランスは、まず売るということをしません。
買いだけでリバランスしますので、譲渡益が発生すること自体がありません。
ということで、通常のリバランスと比較して節税になります。
資産配分が崩れにくい
積立だと、資産の増減に関係なく毎回同じ金額を積立することになります。
それによって、好調な資産と不調の資産との割合の差がもっと開いてしまいます。
ところがノーセルリバランスを購入時にすることで、積立より資産配分が崩れにくくなります。
これは当たり前で、購入のたびにリバランスすることになるからですね。
そのため、定期的にリバランスする必要がほぼなくなります。
平均取得価格を抑えられる
ノーセルリバランスでは各資産を相対的に見て、割合が減った資産から補填していくような形になります。
ということは、増えていない資産(減っている資産)を優先的に購入することになります。
その逆に、増えている資産の方は購入を減らす(またはしない)ことでリバランスします。
要は他の資産と相対的に見て安い時にはいつもより多めに買え、高い時にはいつもより少なめに買えます。
そうすることで高値掴みをある程度緩和できますので、全体的に平均取得価格を抑えられます。
ノーセルリバランスのデメリット
では次に、ノーセルリバランスのデメリットについて記載していきます。
こちらも毎回購入時に実施することが条件です。
- 積立できない
- 計算通りにいかないこともある
- リバランスしきれないこともある
積立できない
最近のネット証券では、積立投資の設定は簡単です。
積立する商品と積立金額を最初に設定してやれば、毎月自動でその通り購入してくれます。
ところがノーセルリバランスでは、毎回各資産への投資金額が変わります。
となると積立設定などできるはずもなく、購入は全て手動になります。
購入日の朝に全ての資産の時価評価額から保有割合を算出して、各資産の購入金額を決めなければいけません。
エクセルで関数を入れた表でも作ってしまえば簡単ですが、表を作るのもなかなか大変です。
平日の朝の10分20分の時間は貴重ですからね。
ここが一番痛いところですが、自分のお金を突っ込むならこれくらいやっても当然という気もします。
計算通りにいかないこともある
ノーセルリバランスするときに全ての基準となるのが、購入日の全ての資産の時価評価額です。
これによって、どの資産にどの金額投資するのかが決まります。
しかし残念なことに、実際に約定(売買成立)するのはその後です。
基本的に国内の投資信託なら1営業日後、海外の投資信託なら2営業日後に約定します。
となると、その間に大きく値上がりしたり値下がりしたりしてしまう可能性もあるということです。
実際にそうなると、苦労して計算したにもかかわらずその苦労は水の泡となります。
こればかりはもうほとんど運ですので、どうすることもできません。
あまり値上がりしないように(約定日に値下がりするのはむしろ歓迎)静かに祈っているしかありません。
リバランスしきれないこともある
総資産額が数千万円ほどに増えてくると、10万円程度の増資はまさに「焼け石に水」状態になってきます。
1日に数十万円の資産の増減は普通になってきますので、ノーセルリバランスでは追い付かなくなってきます。
例えば各資産が1000万円前後になった時に、10万円増資した場合は下記のようになります。
増資前 | 保有割合 | 増減 | 増資後 | 保有割合 | |
国内株式 | 1010万円 | 25.06% | 0円 | 1010万円 | 25.00% |
先進国株式 | 1030万円 | 25.56% | 0円 | 1030万円 | 25.50% |
国内債券 | 990万円 | 24.57% | 6万6667円 | 996万6667円 | 24.67% |
先進国債券 | 1000万円 | 24.81% | 3万3333円 | 1003万3333円 | 24.83% |
10万円増資したくらいでは全く追い付きませんが、ノーセルリバランスしないよりはやった方がマシではあります。
増資後の保有割合が若干ではありますが、25%に近づいています。
資産がこれくらいになった時は、ノーセルリバランスに加えて定期的にリバランスした方がいいかもしれません。
ということで、今回は終わりにします。