【ジョージ・ハリスン】Living in the Material Worldを独断と偏見でレビュー

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前回からの続きです。

アルバム全体の印象

「Living in the Material World」は1973年6月に発売されました。

このアルバムは、ジョージがソロになってから2作目のアルバムですね。

1作目は言うまでもなく、あの超有名な「All Things Must Pass」なんですけどね。

ジョージがちょうど30歳の時です。

いつも思うのですが、この若さでビートルズの全盛期から解散まで経験しているわけで凄まじい人生を送ってきていますよね。

前作は1970年11月発売でしたので約2年半振りとのことで、けっこう長い間隔が空いています。

前作は3枚組という超大作で、ビートルズ時代に書き溜めた手持ちの良い曲をほとんど出し尽くしてしまいました。

そうなると今作のクオリティが気になるところですが、個人的にはむしろこのアルバムの方が高いと思いますね。

ただこの頃のジョージは神様に傾倒していたので神様ソングが多かったわけですが、このアルバムも全体的にそんな感じになっています。

なので好き嫌いはあるかもしれませんが、歌詞を気にせず聴けばなかなかいいアルバムです。

ジョージファンなら絶対に聴くべきアルバムと言えるでしょう。

あとボーナス・トラックで追加された「Deep Blue」「Miss O’Dell」の2曲も、いかにもジョージらしい泥臭い曲でなかなかいいですね。

前者は「Bangla-Desh」のB面、後者は「Give Me Love」のB面の曲です。

「Miss O’Dell」は歌っている途中で笑い出すバージョンがシングルカットされたようですが、後に最後まで笑わずに歌うバージョンも出てきましたね。

良い曲

1曲目の「Give Me Love」はシングルカットされて全米1位になった曲です。

その前週まではポール・マッカートニーの「My Love」が4週連続1位でしたので、ようやく仇を取った(何の?)と言う感じでしょうか。

曲自体はアコースティックで心地良いイントロから始まり、スライドギターがなかなかいい感じです。

メロディは軽快ですがシンプルでやや間延びしていますけど、1本調子でグイグイ押していくところがいかにもジョージっぽくてナイスです。

めちゃめちゃいい曲かと言われるとそこまでではと言う感じですが、あのスライドギターはジョージファンでなくても聴いておいて損はないでしょう。

7曲目の「The Lord Loves the One」は、ジョージ得意の神様ソングです。

4分半ほどの時間で数え切れないくらいLord(神様)という歌詞が出てきます。

個人的にはジョージの神様ソングはあまり好きではありませんが、この曲は例外的に好きです。

神様ソングは暗めのものが多いですが、こちらの方はややアップテンポでなかなかカッコいい仕上がりです。

9曲目の「Try Some, Buy Some」は不思議な曲ですね。

歌の部分はジョージらしくやや間延びした感じですが、歌以外の部分が壮大に盛り上がります。

この曲は最初ロニー・スペクターと言う歌手に提供されてシングルカットされましたが、わざわざ自分で歌い直しているということはお気に入りなんですかね?

デヴィッド・ボウイもこの曲がお気に入りなようで、後にカバーしていますね。

その他の曲

2曲目の「Sue Me, Sue You Blues」は、裁判のことを書いた曲ですね。

おそらく元ビートルズのメンバー同士の訴訟合戦のバカらしさを書いているのでしょう。

なかなかノリの良い曲で、シタールっぽい音が上手くアクセントになっていますね。

3曲目の「The Light That Had Lighted The World」は壮大なバラードですね。

メロディはかなりいいと思いますが、それよりも間奏のニッキー・ホプキンスのピアノとジョージのスライドギターが素晴らしいですね。

4曲目の「Don’t Let Me Wait Too Long」は、ジョージにしては珍しくポップな曲です。

ノリも良く全体的に軽くて覚えやすいメロディに仕上がっていますが、個人的には少し軽過ぎますね。

ジョージファンがジョージに求めているのはそういう曲ではありません。(たまにあってもいいですけど)

5曲目の「Who Can See It」も壮大なバラードですね。

3曲目と似たような曲ですが、こちらの方がメロディの起伏もあり盛り上がりますね。

ジョージにしては珍しく盛大なオーケストラも入っていますね。

6曲目の「Living in the Material World」は、アルバムタイトルにもなっているメッセージ色の強いナンバーです。

ジョンもポールも物質世界に生きている、などと歌っています。

ただこの曲はこのアルバムの中ではそれほどいいとは思えず、長い曲だというくらいしか感想はありませんね。

8曲目の「Be Here Now」はかなりスローな曲なので、聴いていて眠くなってしまいます。

ただ悪い曲ではありませんので、次の「Try Some, Buy Some」へのつなぎとしては悪くありません。

10曲目の「The Day the World Gets ‘Round」はまたまたバラードです。

3曲目、5曲目とよく似ていますが、どの曲も甲乙つけがたいほど良い出来です。

これらは「Living in the Material World」の3大バラードですね。

「That is All」はアルバムのラストを飾るにはやや暗いかなと言う感じですが、ジョージのアルバムはそんなものかなと言う気もします。

ラストくらいはアップテンポの曲で締めて欲しかったような気もしますが、まあ仕方ありませんね。

ということで、今回は終わりにします。